歴史に「if」はないといわれる。だが、過去の政治の転換点で、「もしもこの政治家が総理になっていたら、“国のかたち”は違っていたかもしれない」と期待された人物は少なくない。
日本政治の分水嶺はどこにあったのか──参院選(7月21日投開票)を前に検証することには重要な意味がある。本誌・週刊ポストのアンケートで政治家OB、政治記者、評論家ら30人が「総理になってほしかった政治家」を選んだ(別掲表)。
その結果、最多得票でランキング首位になったのは、安倍晋三首相の父・晋太郎氏だった。
安倍晋太郎・元外相は中曽根政権後の総裁選び(1987年)で竹下登氏、宮沢喜一氏と総理・総裁の座を争い、自民党幹事長として「次の総理」の座を目前にしながら病に倒れ、帰らぬ人となった。
その晋太郎氏のライバルだった竹下登首相がリクルート事件で総辞職(1989年)すると、自民党に激震が走った。このとき、党内から総理待望論があがったのが伊東正義氏(8位)だった。
「人物見識ともに立派な人で、彼が総理になっていれば、政治がここまで国民の信頼を失うようなことはなかったでしょう」(政治評論家・森田実氏)