心臓や脳の重大疾患の発見には、エコー(超音波)、CT、MRIなどの「画像診断」が重要になる。
画像診断を専門とするAIC八重洲クリニックの手塚大介医師(循環器内科)は、「心臓の画像検査は、それぞれが得意分野と苦手分野を補う“相互補完関係”にあります」と解説する。
「『心エコー検査』は、心臓が正常に動いているか、血液が逆流していないか、といった“心臓の動き”を診る検査です。そのため、急性心筋梗塞や、血液の逆流を防ぐ弁の異常である弁膜症などを診断できます。
一方、心エコーは心臓を覆う血管である“冠動脈”の状態を診ることはできない。その場合は『心臓CT検査』を行ないます。動脈硬化を起こして冠動脈が狭くなる狭心症の診断精度は高く、自覚症状がなくてもほぼ100%の確率で異常が発見できます。
また、心不全に至る危険性がある心筋症の早期発見は、『心臓MRI検査』のほうが正確です。MRIは心臓の“筋肉の状態”を診ることに長けています。心筋に十分な血液が流れず酸素不足となり、心筋細胞が壊死して起こる心筋梗塞は、急性の場合はエコー検査を行ないますが、早期発見にはMRIが有効な手段となります」
心疾患に並び、人間ドックのオプション検査などで、脳の画像診断を選択する人も増えている。くどうちあき脳神経外科クリニックの工藤千秋院長(脳神経外科)が語る。
「『頭部MRI』は、脳の血管が詰まる脳梗塞の発見に向いています。精度は非常に高いので、CTではとらえられないごく初期の脳梗塞も発見できます。一方で、『頭部CT検査』で発見しやすいのは、脳出血やくも膜下出血など、出血を伴う急性の疾患です」