「ラグビーW杯、見に行きません?」「ああ、う、うん、そうだね……」──今秋、ラグビーW杯が日本で行われることを知っている人は多いが、いざ、観戦に周囲の人を誘うと、概ねこんな反応が返ってくる。
テレビが主だが年間70~80試合観戦する筆者からすると、「おいおい、日本で見れるのは4年に一度じゃなく一生に一度だぜ? こんなチャンスもうないよ?」と内心思い、歯がゆい思いをしている。
ラグビー人気を計る尺度として試合の観客動員を見てみると、国内最高峰「トップリーグ」の2018-2019年シーズンは1試合平均5153人だった。サッカーJ2の1試合平均7049人(2018年)にもう少しで届きそうだ。基本的にアマチュア選手で構成される企業スポーツとしては、数字だけ見れば決して不人気競技ではない。だが、ラグビーの持つポテンシャルからすれば、もっともっと人気が出てもよいはずだ。
ラグビーが日本でブレークしきれない理由を古参のファンに聞くと、「ルールが難しいからじゃない?」「危険だと思われていて、親が子どもにやらせたがらない」「観に行こうと思っても近くでやってないしね」と、いろんな声が聞こえてくる。
ヤマハ発動機などで活躍し日本代表でもプレー、現在は解説者や指導者として活躍する傍ら、現在放映中のドラマ『ノーサイド・ゲーム』にも出演した大西将太郎さんは、「(関係者もメディアも)ラグビーの本当のおもしろさを伝えきれていない」と見る。それを伝える千載一遇のチャンスは、2015年の前回W杯、日本が当時世界ランク3位の強豪・南アフリカを打倒したときだった。
「あのとき、次の日本-スコットランド戦を見たいと思ってもパブリックビューイングもなかったし、(日本代表の戦いぶりに感化されて)ラグビーを始めたいと思ってもどこに行けばわからなかった。観戦者にしても競技者にしても、新参者に対してあまり優しくなかったと思います」(大西さん)