放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は芸能人夫婦の共演CMについて。
* * *
『P&G ジョイ コンパクト』「ジョイ史上最高傑作」篇のCMに爆笑問題の田中裕二と山口もえ夫妻の姿を見て驚いた。バツイチ同士の二人がゴールインしたのは2015年10月。2017年には3子となる女児が誕生している。
“色々あった”二人だが、その幸せそうな様子は芸人仲間や山口と仲のいいママタレの多くが認めるところ。あの小倉優子が「好きなママタレ」の第一位に輝くなど、懸命に頑張っていてチャーミングでさえあれば、“バツあり”“シンママ”などはマイナス材料にならないのが広告業界の新常識であるようだ。
それにしても、並んで食器洗いをする爆問田中と山口もえの微笑ましいことよ。半年ほど前、表参道で夫妻から声をかけられたことがある筆者。生まれたばかりの女児を抱っこして、田中とショッピングかランチデートでもしていたのだろうか。もともと“やさしい男”として共演女性やスタッフ女性から大人気だった田中が妻子を全力で守っている様子が伝わって来て、ほっこりした気持ちで満たされた。そのカンジが、そのまま同CMからは伝わってくる。
◇バラエティーでの共演とは意味合いが異なる
同じく『P&G ジョイ』のCMに一足先に出演していたのがFUJIWARA藤本敏史と木下優樹菜夫妻である。バラエティー番組では爆問田中より“妻ネタ”が多いフジモンと、SNSでプライベートを公開する機会も多いユッキーナ。というワケで、プライベートがあまり見えない田中・山口夫妻の共演ほどのインパクトはないものの、さまざまな厳しい条件や高いハードルを乗り越えた“お仕事”であるだけに、フジモン&ユッキーナのそれも、バラエティー番組での共演とは意味合いが異なる。
それを裏付けするのは、2017年から『養命酒』のCMに夫婦で出演している藤井隆と乙葉夫妻だ。当初から互いの体調を思いやったり、養命酒の効果を報告しあったりする、円満な夫婦にしかやれない内容だが、この二人、結婚してからバラエティー番組で共演は『さんまのまんま』(関西テレビ・フジテレビ系)以外、記憶がない。
実際、番組の企画会議で名前を出しても、「共演はCMだからでしょ?」と、オファーしても無駄だと言わんばかりにプロデューサーから却下される、実は“敷居の高い夫婦”なのである。
でもそこが、この夫妻の魅力。交際当初から乙葉を思いやる藤井のエピソードは周知の事実だったが、そのイメージがいまも保たれ、CMの設定にも活かされている理想的なケースだ。
◇CM業界の狙いは蒼井優&山ちゃん夫妻か