昔から「早起きは三文の徳」といわれ、早寝早起きが推奨されてきた。文科省も「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するなど、国ぐるみで夜更かしをやめ、朝は早く目覚めるべきと訴えてきた。
しかし、若者にはそれは無意味どころか弊害があることが科学的に明らかになってきている。東京医科大学の兼任講師で睡眠健康研究ユニットリーダーの志村哲祥さんが解説する。
「中高生に早起きをさせるのは心身に害があることがわかっています。睡眠だけでなく、細胞レベルで10代後半から20代にかけての時期は、男女問わず体内時計が夜型になる。中高生は平均的には深夜0時就寝、9時起床くらいが最も生理的に合っているのです。
それら最新の知見を受け、英国で始業時間を8時50分から10時に繰り下げた高校がある。すると、欠席が半減しただけでなく、成績が12%も向上しました。ほかの国でも多くの学校が始業時刻を遅らせ、よい効果をあげています」
今は早寝早起きができていても「中高生時代は夜更かしで、朝はやたら眠かった」と振り返る大人も多いはず。つまり本来なら寝ている時間なのに無理に起こされて学校に行っていたわけだから合点がいく。
睡眠の長さも学力に直結する。