カド番で迎えた名古屋場所で「無念の休場」を選択し、秋場所で10勝をあげての大関復帰を目指す貴景勝。しかし、不在の場所中に思わぬ騒動が起きた。場所前の昇進パーティで父・佐藤一哉氏が“祝儀2700万円を強奪した”と報じられたのだ。騒動の裏側を追っていくと、税務当局も重大な関心を寄せる「角界とカネ」の実態が浮かび上がってきた。
22歳にして“次の日本人横綱”と期待され、来場所で怪我からの再起を期す貴景勝。その相撲界への道を後押ししてきたのが、父・一哉氏だった。兵庫・芦屋で生まれ育った貴景勝は、保育園経営などに携わる一哉氏の“スパルタ教育”のもと、小学校の頃からわんぱく相撲の全国大会で上位入賞し、中学・高校は相撲強豪校に進学。角界入りを果たした。
騒動の舞台となったのは、親子にとって晴れの舞台となるはずの大関昇進披露宴だった。名古屋場所前の6月16日に東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた披露宴には、八角理事長(元横綱・北勝海)ら協会幹部、親方衆、後援者ら2000人以上が祝福に駆けつけた。
だが、場所中になって、この披露宴の「カネ勘定」を巡る騒動が発覚する──。
『週刊新潮』(7月18日号)が〈「貴景勝」ご祝儀2700万円の“強奪者”〉と題した記事で、披露宴で集まった祝儀を一哉氏が持ち帰ったことに、所属する千賀ノ浦部屋の親方や関係者が不審の念を抱いていると報じたのだ。
記事では、昇進披露宴は〈あくまで相撲部屋が主催〉〈収入は力士個人のものではない〉(前掲記事より、以下同)といった“角界の常識”が紹介されている。力士を育てるために投資してきた部屋の恩義に報いる趣旨から、祝儀の取り分は〈親方6対力士4が相場〉であるにもかかわらず、一哉氏が会場にALSOKの警備員を引き連れてやってきて、〈ホテルからお金を勘定する紙幣計算機を借り、その場で現金を数え、ホテルの使用料だけ払って後は持っていってしまった〉という顛末が報じられている。