今季のプロ野球で際立つのが「大連敗」だ。6月、ヤクルトがセ・リーグ最多タイの16連敗を喫するや、パ・リーグ首位だった楽天も10連敗。さらにリーグ4連覇を目指す広島までもが11連敗と、悪夢が続いた。ちなみに日本記録は1998年ロッテの18連敗だ。
18連敗を止める術はなかったのか。当時打撃コーチだった広野功氏はその問いに「あのイニングでもう1点取っておけば、という試合が多かった」と語り、その“重み”を知る名将として在籍9年間で8回のリーグ優勝、うち6度の日本一と西武の黄金時代を築いた森祇晶氏の名を挙げる。
「今では一般的ですが、1人1殺で投手を起用した。7対0でもスクイズで8点目を取りに行く戦法でした。ファンからは面白くないと批判されますが、点差に関係なく1点の怖さを知っている監督でしたね。選手にもセーフティバントなど細かい技術を身に付けさせる指導をしました」(広野氏)
当の森氏に話を聞いた。
「今のような打高投低の野球では、セーフティリードという考え方自体があってないようなもの。そういうことがわかっていないから4点リードくらいで安心して雑な攻めになる。勝負はそんなに甘くない。
どこの監督も頭が痛いだろうが、大型連敗は首脳陣にも問題がある。連敗していると投手をどんどん注ぎ込むことが少なくないが、そんなことでは全滅する。それより勝てる投手のローテーションをしっかり守って戦う。その辺りのベンチの見極めが大切だ」