日本政府は7月4日、対韓輸出の新たな方針を実施した。半導体やディスプレイの製造に必要な感光材(レジスト)、エッチングガス(フッ化水素)、ディスプレイ用樹脂材料(フッ化ポリイミド)という3品目について、従来の簡略な手続きを改め、個別に輸出許可申請を求めて輸出審査を行なう方針に切り替えるという内容だった。これにより韓国内の半導体素材が30%不足した場合、韓国のGDPが2.2%減るとの試算もある。
さらに視野に入っているのが軍事転用技術の輸出を緩和する「ホワイト国」待遇の見直しだ。ホワイト国からの除外によって、食料や材木をのぞく広範な品目に個別許可が必要になるとされる。7月4日付の「中央日報」は約1100品目が輸出規制に該当すると報じた。
こうした局面で韓国にとって痛手なのは、国内経済が後退局面にあることだ。元在韓国特命全権大使で外交経済評論家の武藤正敏氏が指摘する。
「賃金引き上げを打ち出した文在寅大統領の政策により、国内の人件費が上昇して輸出競争力が低下しています。最大の輸出国である中国の経済成長が米中貿易摩擦で鈍化したことも韓国景気を押し下げるでしょう」
国際的な評価も厳しくなる一方だ。今年5月には、経済協力開発機構(OECD)が韓国の今年の経済予測値を0.2%引き下げ、7月には格付け会社S&Pが「韓国200大企業の格付けが2014年以降初めて否定的サイクルに入った」と評価した。