今年は梅雨が長引き、日照不足が心配されるほど涼しい夏の始まりとなった。だからといって油断は禁物! 環境省の公式サイトによれば、24~28℃と比較的過ごしやすい気温でも、熱中症による死亡事故が発生する可能性があるからだ(公共財団法人日本スポーツ協会『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(2019)』より)。
また、熱中症には湿度も関係しており、雨が降って湿度が100%の時は、気温が22℃でも熱中症予防指針が「警戒」を指す(日本生気象学会『日常生活における熱中症予防指針』(Ver.3 2013から)。
日差しを遮る室内にいれば安心かといえばそんなこともなく、65才以上の女性熱中症患者の約7割が自宅で発症している(国立環境研究所が2016年2月に発表)。そこで今回は知られざる“室内での熱中症”の恐ろしさについて紹介する。
◆室内の熱中症で特に女性が危険なのは台所
総務省が発表した「2019年5月の熱中症による救急搬送状況」によると、熱中症の発生場所で最も多かったのは「住居」(29.1%)だった。
「自宅に暑くてがまんできない場所があると思っている人は72.3%おり、特に女性は男性よりも“台所が暑い”と感じている人が多く、3割を超えています」
こう教えてくれたのは、室内での熱中症対策を研究してきた京都府立大学特任講師・柴田祥江さんだ。
火を使う台所は、熱と蒸気がこもり、高温多湿になりやすい。そんな場所に女性は男性よりも長時間いる機会が多いのがその理由だ。
では、台所などの室内で熱中症になるのを防ぐには、どうしたらいいのか?
「のどが渇いていなくても1時間に1回はコップ1杯程度(約150ml)の水分を摂ること。気温28℃、湿度55%を超えたらクーラーをつけましょう」(帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長、医師・三宅康史さん)
女性の場合、家事がひと段落した夜に頭痛や吐き気、倦怠感、足のしびれなどの症状が出る例が多いという。
「夏かぜと勘違いしがちですが、吐き気があって水分が摂れない時は熱中症の可能性が高いので、すぐに病院へ。意識がはっきりしない場合はかなり危険。救急車を呼びましょう」(三宅さん)