「お金ももったいないし、受けなくても大丈夫だろう」と高を括っていると重病を見落としてしまうかもしれない医療検査。「どの検査を、何歳から、どれくらいの頻度で」受けるべきかの判断は難しいところだが、中でも70代以降になったら特に重要性が高まる検査について名医が教えてくれた。
前立腺がんの発見に役立つ血液検査である『PSA検査』は、60代以上の受診が重要という。人間ドック・検診を数多く手がける東京国際クリニックの宮崎郁子副院長が語る。
「前立腺がんは、“高齢者のがん”といわれ、とりわけ70代から毎年検査を受けておいたほうが良い。50代から罹患者は増加しますが、非常に進行が遅いがんなので、50代~60代のうちは、1~3年に1回ほど受診しておくと安心です」
日本人の失明原因の1位である緑内障について、「70代から『OCT検査(眼底三次元画像解析)』を受けておきたい」と解説するのは、二本松眼科病院の平松類医師だ。
「緑内障を発症すると、薬や手術で進行を抑制する以外に対処法がなく、欠けた視野は二度と回復しません。従来の眼底検査では網膜の表面しか見られませんでしたが、OCT検査では、近赤外線を使って網膜の奥の視神経の異常なども立体的に捉えることができます。
緑内障は40代から20人に1人、70代以上10人に1人が発症しているという調査結果があり、できれば40代から5年に1回程度受診することが望ましいですが、少なくとも70歳からは2年に1回程度受けるほうが良いでしょう」
◆検査がリスクになることも