34人が死亡した、京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオでの放火事件。『涼宮ハルヒ』シリーズなど、世界的にも人気となっている作品を多く生み出したアニメ制作会社における凄惨な被害に、日本国内だけでなく世界中から悼む声が届いている。
米アップルCEOのティム・クック氏は19日、ツイッターを更新し「京都アニメーションは世界で最も才能あるアニメーターとドリーマーのホームだ。今日の破壊的な攻撃は日本だけでなく、世界が悼む悲劇だ」と呟いた。
フランスやベルギー、中国大使館が哀悼の意を表したほか、イギリスでは「Help KyoAni Heal」(京アニの救済支援)としてクラウドファンディングによる支援金の募集が始まった。
世界中のアニメファンの心を掴む京アニ。創業のきっかけは京都・伏見の団地の主婦たちだった。
創業者の八田陽子さんは、東映動画(現東映アニメーション)の紹介で、手塚治虫さんの「虫プロダクション」に参加。原画に色を塗る「仕上げ」の技術を身につけた。
陽子さんは東京出身。現社長の英明さんとの結婚と共に京都に移住したばかりの頃、近所の主婦たちから「通信教育でアニメを勉強したい」という声を聞いた。そこで当時30代前半だった陽子さんによる“塾”が開講すると、十数人の主婦たちが集まった。
漫画やアニメの下請けの仕事ができると考えた陽子さんは、東京のプロダクションを回り仕事を探した。最初は内職のような感覚で、アニメ『ヤッターマン』の仕上げなどの下請けから起業した。