「名選手、名監督に非ず」といわれるが、プレーヤーとして実績を残していない指導者が監督として大成するには、並々ならぬ努力と指導手腕が必要であることもまた事実だ。39歳の若さで東北楽天イーグルスを指揮する平石洋介監督は、プロ通算37安打の実績ながら、選手から信頼を勝ち取り、年上のベテランコーチたちを従えて采配を振るう。彼がチームを率いるうえで大事にしているのは、PL学園時代に学んだ“初心”だった。ノンフィクションライターで『永遠のPL学園』著者の柳川悠二氏が聞いた(文中敬称略)。
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PL学園高校時代は“控えの主将”で、プロ通算安打は37。東北楽天の監督である平石洋介の経歴はあまりに異端だ。
「実績が何もない自分がプロ野球の、それも一軍の監督を務めるなんて考えたこともなかった。そもそも、星野(仙一、故人)さんから二軍監督に指名された時も、戸惑いしかありませんでした」
平石は一軍ヘッド兼打撃コーチだった昨季途中から東北楽天の監督代行を務め、2019年シーズンは7代目監督に昇格。1980年に生まれた、いわゆる“松坂(大輔)世代”最初のプロ野球監督となった。PL学園出身者としては尾花高夫に次いで二人目である。
大分に生まれ、幼稚園に通う頃から野球をはじめた。中学から大阪に野球留学。PL、同志社大に進み、トヨタ自動車を経て楽天イーグルスが誕生した2004年、ドラフト7位で入団した。
2011年の引退後はそのまま楽天でコーチに転身し、現在にいたる。平石のように、一度も野球から離れることがないまま、監督に就任するケースも希だ。