身に降りかかる災難や不幸を「厄年」のせいにする日本人は多い。これまで男性が最も注意する厄年は42歳だったが、実はその“上”があることをご存じか。「61歳の厄年」である。
「私は厄払いができないんですよ。名前に“やく”が入っているので、自分の存在がなくなってしまう(苦笑)。ただ今はいろいろな面で衰えを感じて不安なので、できれば厄除けをしたいんですけどね」
こう語るのは、今年「61歳厄年」を迎えた漫画家のやくみつる氏(60)だ。まだ具体的な災難は生じていないが、日々身体的な不安が増していると語る。
「下半身の衰えが顕著で、立っているだけで足首がガクッとなります。漫画家にとって大切な目もつらくなり、昨年からハズキルーペが欠かせません。この先大きな厄に見舞われないといいのですが……」(やく氏)
多くの人々を不安にさせる「厄年」を宗教学者の島田裕巳氏はこう解説する。
「厄年とは、陰陽道を由来とする民間信仰の一種で、平安時代の貴族社会で行なわれていた風習が庶民化して、江戸時代に浸透して現在に至ります。具体的には“その年齢になると何か悪いことが起きる”という信仰で、厄年になると病気やケガ、仕事の不調や大切な人を失うなど負のイベントが起こりやすいとされます」
一般的に男性は数え年(※数え年は生まれた年を1歳として、正月を迎えるたびに歳を取る)で25歳、42歳、61歳が「本厄」となり、その前年は「前厄」、翌年は「後厄」。総じて「厄3年」とされる。つまり満年齢で60歳を迎える年が「61歳厄年」となる。慣習や寺社の解釈などで違いはあるものの、「昔は今ほどの寿命の長さはなかったので、61歳以降の厄年はございません」(佐野厄よけ大師)という。