平成から令和へと時代が変わり、いままでのような働き方の常識では通用しない変化が起こっている。新刊『上級国民/下級国民』(小学館新書)が話題の作家の橘玲氏は、多くの人々がなんとなく感じている社会の変化を次のように位置づける。
「テクノロジーの爆発的な進歩による『知識社会化』、自由な人生と自己実現を追求する『リベラル化』、世界がひとつにつながる『グローバル化』の巨大な潮流によって、私たちは人類史上未曾有の『ゆたかで平和で自由で快適な社会』に暮らすことになりましたが、その代償として、先進国を中心に社会の主流層(マジョリティ)が『上級/下級』に分断され、中間層が崩壊しています」(橘氏・以下同)
「上級/下級」の分断が進む未来で大きな成功を手にするためのトレンドについて、橘氏は以下の2つの戦略に注目している。
【1】高度化する知識社会に最適化した人的資本を形成する戦略
米シリコンバレーのIT企業などに高給で採用されるエンジニアやプログラマ、データサイエンティストなどに代表される専門職。プロサッカー選手などのアスリートと同じく、20代か、遅くとも30代前半までに一生生きていけるだけの富を獲得しようとする。
【2】SNSを通じて「評判資本」をマネタイズしていく戦略
フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどで多くのフォロワーを集めるインフルエンサーやユーチューバーなどが典型で、テクノロジーが提供するプラットフォーム上で「最先端の技術をわかりやすく説明する」「新商品やサービスなど新しい情報をSNSで発信する」といったスキルで評判を獲得して収入を得る。
「『知識経済』と『評判経済』は一体となって進化し、地球を覆う巨大な経済圏を形成しつつあります。前者は高度なプログラミング技術をいち早く習得するなどの抜きんでた知識・能力が求められますが、後者は一流大学を出たからといって成功に結びつくわけではない。『評判経済』では、学歴はほとんど意味のないものになるでしょう」
そうした中で「評判強者」として頭角をあらわすのは、どのような人物なのか。橘氏は、元HKT48のメンバーで、現在はモテクリエイターとして活躍する「ゆうこす」(菅本裕子さん)と、ツイッターで話題の「レンタルなんもしない人」に注目しているという。