大船渡高(岩手)・佐々木朗希投手の“登板回避”問題が賛否両論を呼んでいる高校野球。今後は「球数制限」の導入も本格的に議論されていくだろうが、「もう“エースと心中”では戦えない時代」と指摘するのは、近著に『高校野球継投論』があるスポーツライターの大利実氏だ。では、甲子園常連校の名将監督たちは、どんな継投策を駆使してトーナメントを勝ち上がっているのか。大利氏がレポートする。
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8月6日に開幕する第101回全国高等学校野球選手権大会。大正4年に全国中等学校野球選手権大会として始まった大会は、大正、昭和、平成、令和と、4つ目の元号を迎えることになった。
古くは金属バットの導入、ベンチ入り人数の拡大、最近ではタイブレークの実施と、時代の流れとともに高校野球も少しずつ変化を見せている。
そして、近年でもっとも旬なテーマとなるのがピッチャーの“投げすぎ問題”だろう。連戦が当たり前の夏の高校野球の場合、「エースの3試合連続完投」「200球を超える粘投」など、プロ野球では考えられないことが普通に起こり得る。
2018年12月には、新潟高野連が故障予防や選手の出場機会増などを目的に、「球数制限(1日100球まで)」の導入を発表して、大きな話題を呼んだ。のちに、日本高野連から「勝敗に影響を及ぼす規則は全国で足並みを揃えて検討すべき」と要請を受け、導入は見送りとなった。それでも、日本高野連が「投手の障害予防に関する有識者会議」を発足させるなど、新たな一歩を踏み出すきっかけとなった。
さらに、今夏の岩手大会では大船渡の怪腕・佐々木朗希の起用法が社会問題にも発展。甲子園がかかった岩手大会決勝で、国保陽平監督が「故障を防ぐため」との理由で佐々木の登板を見送った。
連戦での登板が続くと「酷使」と言われ、登板させないと「何で投げさせないんだ?」と言われてしまう。それだけ、投手の起用方法はデリケートで難しい問題だといえる。