代名詞ともいえる『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)を始め数々の報道番組では時の総理大臣から各界の論客まで舌鋒鋭く切り込んできた田原総一朗氏。御年85歳のジャーナリストが次なる取材対象に選んだのは、「高齢者の性」だった。超高齢社会を迎えた日本で、ジャーナリズムとして避けて通れない重要テーマだと考えたという田原氏は、こう語る。
「はじめに言っておくと、僕は風俗でサービスを受けたことは一度もない。性欲も、普通の人よりも少ない。ただ、老人の性というのは、今後の日本の未来を左右するテーマだと思っている」
そう語る田原氏は、かつて50歳の頃に自身の同世代や、その下の団塊世代がどんなセックスライフを送っているのかをレポートした『飽食時代の性──セックス・ウォーズ』(1984年、文藝春秋刊)を著わした。その取材現場では、戦後世代が性に奔放になっていく様子を実感したという。
その田原氏が、前作から35年を経て新たに高齢者のセックスを取材してまとめた『シルバーセックス論』(宝島社刊)を上梓した。
「70代、80代が若者のように自由な恋愛を愉しみ、肉体関係を持つようになっている。そうした高齢者の性事情に関心を持った」―─田原氏は執筆のきっかけをそう語る。
いまなお「現役」の田原氏には、こんな問題意識がある。