人気俳優と言えば、ロクに寝る時間が取れないのは当たり前。かつては寝不足や過酷な移動はむしろ勲章だったが、ドラマのロケ現場でもついに“働き方改革”が進んでいる。
時短事情を伝えたのは、NEWSポストセブンが1日に配信した「杏と仲間由紀恵はママ友、子育てのため『偽装不倫』時短撮影」という記事だ。この記事は、ドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)で共演する杏と仲間由紀恵が、“共闘”して時短を求めているというもの。3人の子を持つ杏と、2人の子を持つ仲間が揃って撮影を短くするよう希望したところ、制作側はクランクインの前倒しやスタッフ増員で対応し、スタッフにも好評だという。
この記事に対し、ネットのコメント欄には、
「今回のように周りにもメリット出せたらみんな嬉しいですね!」
「効率アップやみんなで支え合って仕事していくのは素晴らしいね」
「ママだから、ではなく、本来はどの職業でも時間内で終わることができたら素敵ですよね」
と、好意的なコメントが寄せられているが、かつてのドラマの撮影現場は本当に過酷だったようだ。現役40代のテレビマンはいう。
「ドラマ撮影は深夜、早朝が当たり前。この業界に入った時、台本のスケジュールに書かれた『終了30時(予定)』という文字を見て、驚いたものです。大物演出家の中には、平気で何十回も撮り直しを指示する方もおり、ベテランの裏方が“今日は帰れねえな”などと吐き捨てるのは当たり前の光景でした」(現役テレビマン)
良い作品を作るために、妥協を許さない姿勢を貫くのは当然と言える。しかし、かつてほどドラマが視聴率を取れなくなってきたことが、時短の流れを後押ししているという。テレビ関係者がいう。
「かつては1話に5000万円以上かける連ドラもありましたが、今やそんなことができるのはNHKの大河ドラマだけ。ドラマが視聴率を取れなくなった今、民放の連ドラの1話あたりの制作費は2000~4000万円程度です。制作費を抑える方法は色々ですが、短時間で撮ればその分、人件費が削れるので、仲間由紀恵や杏の申し出は、制作側としても望むところでしょう」(テレビ関係者)
出演者も制作側も喜ぶなら、まさにウィン・ウィンだが、これからもドラマ現場で時短は進んでいくのか? ベテラン芸能記者の石田春男氏はこう語る。
「『偽装不倫』で時短が実現した最大の理由は、それぞれ数々の大ヒット作を持つ杏と仲間由紀恵という人気女優がそれを望んだからですが、背景には炎上対策もあります。これまでは、『撮影時間の長さ=作品への熱意の現れ』でしたが、今の時代にそんなことをして子育てに理解のない姿勢が公になれば、“ブラック現場”などと叩かれかねません。