ドラマで登場人物の行きつけや、仲間と集まったりする場所のひとつは飲食店だ。バーや居酒屋でのシーンはすぐ思い浮かぶが、最近、頻出しているのが中華料理店だ。その理由について、コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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最近、なぜか町の中華料理屋と縁のあるドラマが多い。昨年、放送された『不惑のスクラム』(NHK)は、不惑ラグビーチーム「大阪淀川ヤンチャーズ」の面々(高橋克典、萩原健一ら)が練習や試合の後に中華料理屋に集合。にぎやかに乾杯する。よく見れば、店の名前は「楽美苑」。なかなかに芸が細かい。
前シーズンの『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)の主人公結衣(吉高由里子)の楽しみは、仕事帰りに「上海飯店」で一杯やること。この店は18時開店で、18時10分までのハッピーアワーはビールが半額なのである。店主の王丹(江口のり子)は、顔は能面のようだが日本人は働きすぎという考え方で、結衣のよき理解者。店のマークのパンダの耳が小籠包の形をしているのもご愛敬だ。
さらに放送中の『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)。第一話冒頭は、格闘の末に犯人を逮捕した“ハマの狂犬”こと樋口(唐沢寿明)と部下たちが、横浜中華街の「酔来軒」でお疲れ様会の真っ最中。そこに事件の一報が。
そして、先日スタートした『W県警の悲劇』(BSテレ東)の主人公の松永菜穂子(芦名星)は、目指す場所が中華という特殊ケース。警察官の不祥事を暴く“警察の警察”ともいわれる監察官。彼女は所轄の女性警察官たちの事件を探るのである。複雑なのは、菜穂子の目的が、自ら警視に出世して県警幹部の“円卓会議”に乗り込み、女性警察官の地位向上を目指すということ。女の不祥事を暴いて、女の地位向上を目指すって。遠回りなのか近道なのか、よくわからないが、問題の“円卓会議”がどこで行われるかといえば、高級中華料理店「玉好園」。もちろん特別個室である。
少し前まで、ドラマの登場人物が集合する場所といえば、和風の居酒屋かムード満点のバーがほとんどだった。それが今、なぜ、中華なのか?