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芦田愛菜が山中伸弥教授に聞いた「AI時代をどう生きるか?」

芦田愛菜と京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥さんの対談が実現

 初著書『まなの本棚』で、これまで読んできた本について熱く語っている芦田愛菜(15才)。その中でも、読書好きの彼女がぜひお話を伺いたいと熱望したのが、京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥さん。SF小説好きという共通点もあり、世代を超えて盛り上がった対談から、本書に未収録部分を公開します。

◆SF小説ですら想像できなかった方向に、世の中は動いているんです

山中先生:今の時代では当たり前に使われているけど、数十年前にはSF小説のように、夢の世界だったものは、たくさんあります。たとえば、愛菜ちゃんは、物心ついたときからインターネットやスマホはありましたよね。でも、ちょっと前の時代にはインターネットやスマホは全然なかったんですよ。信じられますか?

愛菜:ちょっと信じられないですね。母から「昔は電話のボックスみたいなのを持ち歩いて、携帯電話として使っていたんだよ」と聞いたことがあります。

山中先生:三十年少し前には、携帯電話も存在していなかったですから。どうやって、その時代の人たちがスマホがない状態で生活をしていたのか。愛菜ちゃんには、想像できないでしょう?
 
愛菜:そうですね……。考えられないです。

山中先生:僕が、愛菜ちゃんと同じ中学生の頃は、コンピュータというと、いま僕らがいるiPS細胞研究所のビル全体ぐらいの大きさのものもありました。少なくとも、部屋いっぱいくらいのスペースがないと、ちゃんとしたコンピュータとは言えなかったんです。

 僕がはじめてコンピュータに触ったのは、大学院生くらいのときです。NECから発売されたパーソナル・コンピュータだったのですが、その時は本当に感動しました。でも、それも、いまからたったの二十数年前のことです。その当時、記録装置といえばテープレコーダーだったんですよ。あ、愛菜ちゃんは、テープレコーダーって見たことありますか?

愛菜 あります! ギリギリ見たことがあります。

山中先生:ギリギリですか(笑い)。当時は、自分でパソコンのプログラムを作ったら、それをテープレコーダーに覚えさせていたんです。そして、データを引き出したいときは、またパソコンにピーポーパーポーっていう電子音を読み込ませて、またプログラムを作るんです。二十数年前くらいでそういう状態ですが、さらにその二十年前のパソコンすらない時代、人間は月に行っているんですよ。もう信じられませんよね。

愛菜:うーん。想像がつきませんね……。

山中先生:今でも月に行くのは大変ですよね。1960年代に「よく月に行けたなぁ」って思います。でも、それを言ったら、何千年も前に作られたピラミッドも「よく作れたなぁ」って思いますよね。昔の人が現代の僕たちにもなかなかできないことをやりとげていたのを知ると、「本当に僕たちは賢くなっているんだろうか?」と、時々わからなくなります。

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