来年の東京五輪では1010万人が観戦に訪れると予測されているが、もし東京五輪の開催中に「首都直下型地震」が起これば、甚大な被害を招きかねない。
政府の中央防災会議によれば、M7.3クラスの都心南部直下地震が起こった場合、首都圏の死者数は最大で2万3000人にのぼると想定されている。
東日本大震災で大きな被害を出した「津波」の心配もある。政府が想定する「都心南部直下地震」では、東京湾内の津波は「1m以下」と見積もられているが、もっと大きな津波が押し寄せる場合もあり得る。
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が指摘する。
「東京湾には4mの防潮堤がありますが、東京湾北部を震源とする地震が発生した場合、防潮堤を乗り越えるほどの津波が襲うと予測している専門家がいます。津波が防潮堤を乗り越えれば、ベイエリアの会場に到達する可能性がある。
東京湾の最奥部には、フェンシングやレスリング会場の幕張メッセがありますが、最奥部だから大丈夫と侮ってはいけない。津波は通常、湾の最奥部で一番高くなる性質があり、地震発生から10分程度で幕張メッセに到達する可能性がある。1万人もの観客が、10分以内に高台に避難するのは非常に難しい」