国内

JASRAC潜入調査で炎上 ネットの論調は妥当なのか

JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)本部

JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)本部

 過激なものの言い方はSNSで多くの反響を集めるにはよいかもしれないが、その激しい言葉に引きずられて、冷静な議論からどんどん遠ざかってはいないだろうか。とかく批判一辺倒にさらされがちな音楽著作権の集中管理を行っているJASRAC(ジャスラック、一般社団法人日本音楽著作権協会)が先日、音楽教室へ潜入調査を行っていたことが報じられたときも、偏った意見ばかりが目についた。潜入調査は、やむにやまれぬ理由から数十年前から続けられてきた手法であることを、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
──カスラックは潰れろ!
──最低最悪の既得権益企業

 ネット上に溢れるこうした罵詈雑言は、一般社団法人日本音楽著作権協会、通称「JASRAC」に向けられたもの。JASRAC職員が約二年間に渡り、一般人を装って音楽教室に通い「潜入調査」をしていたことが報じられると、やり方がフェアではないとして、大バッシングが巻き起こった。

 いや、潜入調査が明らかになる以前から、ネット上ではJASRACに対する風当たりは強かったことは、ネットユーザーなら誰もが知るところであろう。音楽教室だけでなく、カラオケスナック、ライブハウスなどにもJASRACからの「請求」が届き、音楽文化を守るはずの団体の行動が、音楽文化を衰退させている、と言われてきたのだ。

 例えば、あるアーティストがライブハウスで持ち歌を歌っても、JASRACへの著作権料が生じてしまう、といった噂もささやかれている。筆者がいくつかのライブハウス、ショークラブに問い合わせをしても、実際にそうした請求が届いたという例には行きあたらなかったが、音楽教室にまで「請求する」のは確かに、やり過ぎだと言われても仕方ない気がしないでもない。

 また、音楽教室への著作権料徴収については、従前から話題になっていたことで、手段を選ばず「スパイ」まで送り込んだのか、という印象で語られている向きも確かにあろう。JASRAC側は、あくまで潜入調査を正当な方法だとアナウンスしているが、実際にJASRAC職員はどう考えているのか? 実は過去にも「カラオケGメン」なる調査員が存在していたことを明かしつつ覆面捜査をせざるを得ない実情について証言する。

「潜入調査は、何十年も前からやっています。まだカラオケが現在のような通信式ではなくレーザーディスクだった時代には“カラオケGメン”なる調査員がいました。夜な夜なスナックやクラブに出向いては職員だとバレないよう調査をし報告書を書いて、悪質なら通知を出す。経費で飲み食いをして、弱小事業主であるスナック店主やクラブオーナーをいじめている、みたいな指摘もありますが、それは違います」

 こう話すのは、1990年代から十数年間JASRACで働いていた職員。現在のカラオケ機器は通信タイプで、客が一曲歌うごとにしっかりと著作権料がカウントされる仕組みだが、レーザーディスクが用いられていた時代は、厳密に言えば、一曲歌うごとに店や歌った客が申請されない限り、著作権料を支払わなくてもバレなかった。こうした行為が横行したが故に、やむなく潜入調査が行われるようになったというのだ。さらに、JASRACという財団法人の存在意義が「音楽の著作物の著作権を保護」することである以上、こうした調査をせずに放っておく、という手段は取られにくいのだという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【独占告白】経営陣を刷新したフジテレビに被害女性Aさんが望むこと「被害者救済を第一というなら、様々な報道で貶められた名誉の回復を願います」
週刊ポスト
5人での再始動にファンからは歓喜の声が上がった
《RIP SLYMEが5人で再始動》“雪解け”匂わすツーショット写真と、ファンを熱狂させた“フライング投稿”「ボタンのかけ違いがあった事に気付かされました」
NEWSポストセブン
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
中居正広の私服姿(2020年)
《白髪姿の中居正広氏》性暴力認定の直前に訪問していた一級建築士事務所が請け負う「オフィスビル内装設計」の引退後
NEWSポストセブン
これまで以上にすぐ球場を出るようになったという大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平、“パパになる準備”は抜かりなし 産休制度を活用し真美子夫人の出産に立ち会いへ セレブ産院の育児講習会でおむつ替えや沐浴を猛特訓か
女性セブン
ネズミ混入トラブルを受けて24時間営業を取りやめに
《ゴキブリ・ネズミ問題で休業中》「すき家」24時間営業取りやめ 現役クルーが証言していた「こんなに汚かったのか」驚きの声
NEWSポストセブン
愛知県一宮市の住宅内のクローゼットで亡くなっているのがみつかった女子高校生の加藤和華さん(16)。事件から3日経ち、自宅前には花が備えられていた
〈ゲームでカッとなったのか…〉被害女子高生・加藤和華さん(16)の同級生が語った“思い出”「犯人を許せない」【一宮市・女子高生死体遺棄】
NEWSポストセブン
岡田結実
《女優・岡田結実(24)結婚発表》結婚相手は高身長の一般男性 変装なしの“ペアルックデート”で見せていた笑顔
NEWSポストセブン
ウッチャンナンチャンがMCを務める番組『チャンハウス』
【スクープ】フジテレビがウンナン&出川MCのバラエティー番組で小学生発言を“ねつ造演出”疑惑 フジは「発言意図を誤解して編集」と説明、謝罪 
女性セブン
くら寿司
《ピンク色の破れたゴムを…》「くら寿司」が迷惑行為に声明「厳正な対応を行う予定」実行者は謝罪連絡入れるも…吐露していた“後悔の言葉”
NEWSポストセブン
中学時代の江口容疑者と、現場となった自宅
「ガチ恋だったのかな」女子高生死体遺棄の江口真先容疑者(21) 知人が語る“陰キャだった少年時代”「昔からゲーマー。国民的アニメのカードゲームにハマってた」【愛知・一宮市】
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認め全店閉店へ(左・時事通信フォト、右・HPより 写真は当該の店舗ではありません)
【こんなに汚かったのか…】全店閉店中の「すき家」現役クルーが証言「ネズミ混入で売上4割減」 各店舗に“緊急告知”した内容
NEWSポストセブン