「BOYCOTT JAPAN 行きません、買いません」──日本政府の輸出管理強化措置により「ホワイト国」から除外された韓国では、これを合言葉にした「日本製品不買運動」が続いている。韓国メディアは一様に日本の措置を「経済報復」と決めつけて報じ、文在寅大統領は「二度と日本には負けない」と発言、国民感情を煽ってもいる。
その結果、韓国では何が起きているか。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)の著書がある韓国人作家・崔碩栄氏がソウル在住の男性A氏から聞いた出来事は象徴的だ。
「A氏が市内をレクサスで走っていたら、突然、後ろからハイビームとクラクションを受け“あおり運転”をされたそうです。A氏は普通に走っていただけなので悪いことはしていない。腹が立った彼は、後ろの車をふさぐように停車して、相手の運転手に『一体なんだ』と詰め寄ったのです」(崔氏、以下同)
もはや一触即発の状況だが、腕っぷしには自信がある柔道経験者のA氏に対し、相手はとても喧嘩などしそうにはない、真面目そうな普通の男性だったという。
「相手は、A氏に向かって大声で『こんな状況で日本車に乗っていいのか!』と言ってきたそうです」
結局、警察が来たが、沙汰止みになったという。このエピソードを聞いた崔氏は、「ごく一部のパフォーマンスに過ぎなかった日本製品不買運動が、ついに一般の市民にも影響を及ぼし始めた」と感じたという。
「今回の不買運動を始めたのは、もともと反日的な政治活動をしているプロ市民たちです。それへの支持もごく一部で、一般の韓国国民は“そうはいっても日本製品好き”だった。しかし、韓国のマスコミが日本側の措置を徴用工問題に対する『日本の経済報復だ』と報じ、不買運動に積極的に協力した。それが繰り返されるうちに、韓国の国民もそうした言説を信じるようになり、今では社会全体に(運動が)浸透したと言わざるを得ない状況です」
飲食店でハイボールを頼んだ客が「まさかサントリーのウイスキーじゃないでしょうね」と冗談めかして言うようなケースも、日常的な光景になりつつあるという。しかし、崔氏はこうした軽いノリの「日本不買」でも笑って済ますことはできないという。