消費税増税前の駆け込み需要も見越して、マンションの売却を考えている人はいるだろう。しかし、不動産仲介会社の選定から、売り出し価格の相場など、素人では分からないことは多い。そこで、不動産コンサルタントの長嶋修氏が、マンションを早く高く売る方法や注意点をアドバイスする。
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マンションを売りに出す場合、一般的には価格査定を不動産仲介会社に依頼するが、一社の査定だけでは価格の妥当性について相場観をつかめないため、複数社に査定依頼することが重要だ。
実際にはどこの査定価格にも大差はなく、その幅はせいぜい前後5%のレンジに収まるだろう。宅地建物取引業を行っている不動産仲介会社は「REINS(レインズ)」という不動産情報ネットワークでつながれており、これらの成約・売出し中事例を見ながら査定価格を出すためだ。
複数社に依頼した場合、まず異常に高い価格を出してきた会社は見送ろう。3社に査定を依頼し、「A社5000万円」「B社 4980万円」「C社6000万円」なら、C社は論外ということになる。売却の依頼をもらいたいがために、売れもしない査定価格を出している可能性が高いためだ。
売りに出されたあなたの物件は、不動産の売買を1社だけに依頼する「専任媒介契約」であれば必ず前出のレインズネットワークに登録され、瞬時にすべての不動産仲介会社に情報が共有されるため、どこか特定の会社だけが高く売ることができることは論理的にありえない。そもそも不動産には相場というものがある。名の通った大手仲介会社でも平気でこういうことをするから気をつけたい。
また、物件情報を囲い込まないかも確認したい。不動産仲介会社は契約が成立すると、売り主から3%+6万円(税別)の仲介手数料を受け取るが、自らが売り主・買い主双方の仲介を担当すれば、合計6%+12万円(税別)と2倍の手数料を受け取れる。したがってネットワークシステムに物件を登録しなかったり、他業者から物件の有無を問われても「話が入っている」「契約予定」などと返答して物件を自社で囲い込むケースが散見される。
これは売り主への背信行為だが、やはり大手でも平気でこういうことをしている。どこに売却を依頼する場合でも、「情報の囲い込みはやめてくださいね」と注意喚起したほうがいい。「別の会社からダミーで物件のお問い合わせをすることでチェックします」などと念押しすると、さらに効果的かもしれない。