ももいろクローバーZの明治座初登場となる『ももクロ一座特別公演』。人気劇団ラッパ屋を率いる劇作家・鈴木聡氏と、数々のヒット映画を手掛けた本広克行氏が作・演出を担当したことでも話題だ。この公演を時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんがチェック。「たまげた」というその内容をリポートする。
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明治座で上演中の『ももクロ一座特別公演』。時代劇好きの私としては、第一部の芝居「座長・佐々木彩夏 大江戸娯楽活劇 姫はくノ一」のタイトルを見たからにはじっとしてはいられない。早速、劇場に駆けつけ、初めて見るライブのももクロ世界に接し、ひたすらたまげた。
もちろん、私とて、彼女たちがメジャーデビューまでに苦労を重ね、夢であった紅白歌合戦出場や国立競技場でのライブを実現したこと、ロック界などさまざまなジャンルとの共演やソロでの活動も続けていることは知っている。
では、なぜ、ももクロ明治座初進出公演でたまげたのか。それは、ももクロ独自の世界とともに日本のエンタメの「伝統」を見たからだ。
第一部の芝居は、上州桃亀藩のあや姫(佐々木)が、「あたしよりキラキラしないで」「あたしより目立たないで」などとわがまま放題を言って、奥女中のかな(百田夏菜子)、しお(玉井詩織)、れに(高城れに)らをうんざりさける場面からスタート。その後、奥女中たちが実はくノ一だと知った姫は、自らもくノ一となると宣言し、大暴れすることに…。
時代の「顔」といえるトップアイドル、若手女優が、事件に巻き込まれるお姫様を演じるのは、日本のエンタメ界の「伝統」である。たとえば人気キャラクター『あんみつ姫』は、1950年代には、雪村いづみ(美空ひばり・江利チエミとともに三人娘と呼ばれた人気歌手)が演じ、80年代には小泉今日子が、2008年には、井上真央がこの役を受け継いだ。
現在、『やすらぎの刻』で貫禄を見せる加賀まりこも、1972年には、町奉行大岡越前の娘ながら危険な潜入捜査をする『姫君捕物控』に主演。1986年には、『おニャン子捕物帳 謎の村雨城』で城之内早苗が町娘と姫の二役、1990年には沢口靖子が姫なのに変装の達人という異色作『お江戸捕物日記 照姫七変化』をヒットさせた。