仕事の内情をコミカルに描きつつも、経理の奥深さを垣間見せてくれるNHKドラマ『これは経費で落ちません!』(金曜夜10時)が話題だ。多部未華子演じる、恋に奥手な経理部員・森若沙名子が曲者社員たちに翻弄されながらも、会社の数字と格闘する。
このドラマ、「えっ、経理ってそんなことまでするの?」というシーンが多い。たとえば、社員から提出された領収書が私的に使用されたものか、適正なものかを調査するために、森若は社員の出張先にまで調査に出かけていた(第1話)。
8月16日放送の第4話「女の明日とコーヒー戦争の巻」でも、総務課で社内にコーヒーサーバーを導入するかどうかをめぐって騒動が起きた際、導入元のリース会社の財務状況を知るべく、決算書を取り寄せて数字を吟味するシーンがある。
実はこのリース会社は、総務課の先輩社員・平松由香利(平岩紙)が通うセミナーの講師・三並愛美(須藤理沙)が社長を務める会社でもあった。平松から三並の主宰する「働く女性のための生き方セミナー」に誘われた森若は、三並に会員登録を勧められる。が、その費用として提示された50万円の内訳を尋ねる森若に、三並は「内訳はない」という。
「具体的でないものに簡単にお金は払えない」と会員登録を断わった森若は、三並のそうした経営姿勢に疑念を持つ。コーヒーサーバーの導入元として三並の会社がふさわしいかを確かめるため、決算書を取り寄せたのだ。森若は、決算書の数字と三並から聞いていた話のつじつまが合わないことを発見し、上司に「この会社は信用できない」と報告、取引しないよう具申するのだった。
経理の仕事は、領収書を処理するだけではない。ましてや領収書の不備や不正を見抜くだけでもない。「仕入の管理」「売上の管理」「現預金の管理」「税金の計算」など多岐に渡る。当然、貸借対照表や損益計算書の数字が意味することも理解できなければならない。