甲子園決勝で惜しくも敗れた星稜・奥川恭伸の投球には、全国の高校野球ファンだけでなく、プロ球団のスカウトからも熱視線が送られた。一方、甲子園出場はならなかったが、高校生最速の163kmをマークした大船渡・佐々木朗希のもとにも、国内外から複数球団のスカウトが視察に訪れていた。
2人の境遇から思い出されるのが、2012年のドラフト会議の目玉となった大谷翔平(エンゼルス)と藤浪晋太郎(阪神)だろう。
大阪桐蔭のエースとして、史上7校目の春夏連覇を達成した藤浪と、最速160kmを記録しながらも岩手県大会で散った花巻東の大谷──高校時代の明暗はハッキリと分かれたが、現在の活躍ぶりを見ると、その立場は逆転した印象を受ける。
奥川と佐々木についても、“どちらが伸びるか”は分からない。プロのスカウトは、2人をどう評価しているのか。
在京球団の現役スカウトは「甲子園での投球を見ると、奥川君を1位指名に推したい」と語る。
「春のセンバツから夏にかけての成長に驚きました。最速158kmのスピードと制球力もさることながら、体が一回り大きくなって胸板も厚くなった。準決勝、決勝と中1日の連投でも疲れを感じさせず、3回戦の智弁和歌山戦では右ふくらはぎをつりながらも延長14回165球を投げ抜けるタフさが身についている。体力は申し分なく、即戦力として一軍のマウンドに立てるレベルです。早いうちからローテーションの一角として計算できる」
ヤクルトの元スカウト、編成部長として尾花高夫、伊東昭光、高津臣吾らの才能を見出した片岡宏雄氏も太鼓判を押す。