収束する気配のない香港の大規模デモの余波は、日本にも届いていた。香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正への抗議デモは、香港国際空港の占拠や、警官隊との衝突など過激化している。さらに中国政府が武力介入することへの懸念も高まっている。
そんななか、日本でも8月17日、香港政府の出先機関である香港経済貿易代表部(東京都千代田区)前で、デモ隊を制圧する香港警察の暴力行為に対する抗議集会が開かれた。世界各国で開催された香港人やその支援者が参加するデモで、主催者発表で約400人が集まった。本誌・週刊ポスト記者が取材するなか、“事件”が起きた。
当日、香港と同じように、黒いTシャツに黒いマスクを身に着けた人々が皇居西側にある千鳥ヶ淵交差点公園に集まっていた。すると突然、高級外車のオープンカーが“横付け”され、大音量で中国国歌を流し始めたのだ。
「中国人とみられる一団による抗議活動が始まったのです。公安の私服刑事たちが急行して、そうした行為をやめるように注意すると、今度は彼らはアカペラで歌い始めました。香港のデモ隊がスタートする時刻になると中国人たちはますます過激になり、香港人を罵り始めました」(参加していた香港人男性)
集まった中国人は40人ほど。中国国旗の五星紅旗を広げながら、香港デモ隊と一触即発の状態になった。香港デモ隊にカメラを向けて撮影したり、中国人の乗った高級外車がデモ隊の1人に接触しそうになる一幕もあった。
やがて機動隊が出動し、罵声を浴びせる中国人男性に注意する姿もみられた。