コンビニエンスストア業界は、今まさに「曲がり角」を迎えている。大手3社の一角、ファミリーマートは状況をどう受け止めているのか。伊藤忠商事からユニクロに転じ、その後は経営支援会社立ち上げを経て、ファミリーマートのトップに──そんな異色の経歴を持つ澤田貴司・社長(62)に訊いた。
──ファミリーマートが“選ばれるコンビニ”になっていくための条件は?
澤田:一番大事なのは、社員がチャレンジし続ける社風をずっと維持していくこと。加盟店の皆様のご理解を得たうえで、お客様が喜ぶ商品やサービスを自由に発想して仕掛けていく。もちろん成功も失敗もあるでしょうけど、チャレンジを楽しめる企業風土を作っていくことが僕の大きな仕事です。
具体的な例を挙げると、2017年に発売した「黒幕引き丼」。これは、長年ファミリーマートの経営を牽引してこられた上田準二さん(元社長、会長)の退任記念に、「引退に引っ掛けた弁当を何か考えよう」と現場に指示して実現した商品です。これがものすごくヒットしましたね。
また、テレビCMでお馴染みになった「ファミチキ先輩」も一例です。現場が楽しんでアイデアを出していくことが大切だと思っています。