この夏、韓国では激しい「No JAPAN」運動が展開された。ところが、反日の理由の一つとなっている徴用工問題では、韓国国内も一枚岩ではないようだ。韓国の「慰安婦の日」に開催されたシンポジウムで起きた“事件”について、ジャーナリストの赤石晋一郎氏がリポートする。
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8月14日は韓国では「慰安婦の日」とされている。真夏の炎天下となったこの日、韓国内では各地で記念シンポジウムが開催されていた。ソウル市内の中心部に位置する禅寺(チョゲサ)では「強制動員問題解決のための国際会議 解放74年、強制動員問題の過去、現在、未来」と題された集会が行なわれていた。ソウル特派員が解説する。
「このシンポジウムは徴用工問題についての国際会議という触れ込みでした。開催者の名前こそ『共同行動』と連帯組織のようになっていましたが、実質的には民族問題研究所という市民団体が主導したようです」
民族問題研究所は「徴用工版の挺対協(旧・韓国挺身隊問題対策協議会、現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)」と呼ばれる市民団体だ。反日色を前面に打ち出す「植民地歴史博物館」を運営するとともに、日本製鉄相手の徴用工裁判を支援している団体としても知られる。昨年の徴用工裁判で日本企業に賠償命令を出した韓国大法院判決を受け、韓国内では徴用工裁判の立役者としてその発言力が大きくなっている。
この日のシンポジウムには、韓国の市民運動家などが多数参加した。日本からは矢野秀樹氏(日本強制動員共同行動事務局長)らがゲストスピーカーとして名を連ねていた。民族問題研究所が提唱する「徴用工問題で日韓市民が連帯する」ということを意識した国際会議だったようだ。