臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた韓国を分析。
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8月24日、北朝鮮がまた短距離弾道ミサイルを発射した。韓国が日本とのGSOMIAの破棄を通告した翌日のことだが、韓国メディアが敏感に反応したのは、日本の方が韓国より10分ほど早く第一報を伝えたことだった。「破棄」という強気の対応に出た直後だっただけに、韓国メディアにとっては歯がゆく思うところがあったのだろう。
8月15日の光復節の演説で反日姿勢をトーンダウンさせていた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領だが、GSOMIAの破棄を決めた。安倍晋三首相は渋い表情を浮かべ「国と国との約束を守るよう求めていきたい」と記者団にコメントし、アメリカのポンペオ国務長官は硬い表情で「失望した」と述べた。
破棄の理由は、文大統領が演説で日本に対話を呼びかけたが反応がなく、「国家的自尊心まで毀損するほどの無視で一貫し、外交的欠礼を犯した」から。首脳会談を提案したり、特使を日本に送ったりして外交努力を重ねてきたが、日本がすべて無視した、というのが韓国側の主張だ。大統領府国家安保室の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長は、厳しい口調で日本を非難した。
日本で報道を見ていると、文政権は被害者意識が強すぎないか?と思う。物を言えば反論してくるし、静観すれば無視だと騒ぎ立てているような気がしてならない。何をどうやっても日本が悪い、すべて日本のせいという結論に行きつく印象が拭えない。韓国側には韓国なりの言い分があるだろうが、考え方や捉え方が歪んでいる気がするのだ。こうした心理的特徴には、「被害的認知」が強く生じているのではと思えてくる。