日本市場を制圧した“巨大企業”の内実に迫るべく、ジャーナリストの横田増生氏は「東京ドーム4個分」の広さを誇るアマゾンの小田原物流センターに15年ぶりに潜入した。注文された商品を倉庫から探し、梱包・出荷エリアに受け渡すピッキングという作業に時給1000円で従事しながら、過酷な労働環境を強いられていた元アルバイトの話を聞くことができた。ちなみに15年前の時給は900円だったため、100円上がったということになる。
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小田原の物流センターで潜入取材するだけでなく、話を聞かせてくれる人を探した。すると、無理やり“自主退職”させられたという元アルバイトに出会った。
20代の田所美帆(仮名)は、2015年の年末から小田原で働きだした。小田原物流センターを仕切る下請けの人材派遣会社ワールドインテックの所属だった。
はじめは順調に職場になれていったが、徐々にセンター内での人間関係や上司との付き合いがうまくいかなくなり、行き詰まりを感じるようになった。強引に自分の都合よく仕事を進めようとする同僚に振り回され、また上司からは達成不可能なノルマを課せられた。
田所は次第に体調を崩すようになり、病院に行くと、うつ病と診断された。それ以降、欠勤する日が多くなった。2017年10月下旬、ワールドインテックの男性の担当者から呼び出され、欠勤が多い理由を問い詰められた。田所はこう語る。
「私は同僚の名前や彼らのわがままな仕事ぶりを説明し、私がどれだけ息苦しく感じているかを説明しましたが、ほとんどわかってもらえませんでした。いつの間にか、私と私の家族との間の問題に話がすり替えられて、そのことを誓約書に書かされました」