広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説『なつぞら』。放送終了まであと1か月となり、クライマックスに向けて盛り上がっていくのかと思いきや…そのストーリー展開に疑問の声が出ている。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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序盤は22~23%で推移していた視聴率が8月に入ってからは、20%を下回る日も目立つようになった朝ドラ『なつぞら』。残り1か月の放送が残っているにも関わらず、ネット上にはネガティブな記事や書き込みが増えているのは気がかりです。
ネガティブな記事や書き込みで多いのは、「結婚したあと何の物語なのか、わからなくなった」「いろいろ問題が出るけどサクサク解決してしまう」などのストーリーに対するもの。
第19週114話(8月10日)の最後に描かれたのは、奥原なつ(広瀬すず)と坂場一久(中川大志)の結婚式。最後にスピッツの主題歌『優しいあの子』が流れる最終回のような演出だったことも含め、多くの視聴者は「これでひと区切り」という印象を抱きました。
続く第20週(8月12日~17日)から、なつと一久の夫婦生活がスタート。なつの兄・咲太郎(岡田将生)と光子(比嘉愛未)の結婚を描いたあと、なつが妊娠してマタニティハラスメントを乗り越える場面が描かれました。
21週(8月19日~24日)は、なつが産休に入り、北海道の柴田家が上京する中、無事に出産し、仕事現場に復帰するまでが描かれました。
22週(8月26日~31日)は、なつが作画監督を任される一方、娘・優の待機児童問題が発生したものの、茜(渡辺麻友)からの申し出で解決。「優が茜になついてしまう」という悲しいシーンもありましたが、翌日の放送で5歳に成長していました。
結婚から各一週の放送で妊娠・出産し、マタハラや待機児童問題もアッという間に解決。作画監督という大役であるにも関わらず、仕事上の葛藤や問題はほとんど描かれることなく、仕事と子育ての両立という難しさがありながら、娘・優はわずか一週の放送で5歳に育っていました。
つまり、なつは仕事で一定の成功を収め、さらに結婚という「公私両面でのピークをお盆前に迎えて以降、仕事も人生もサクサクと進んでいる」のです。
その様子は、まるで9月28日の最終話に向けた早く長いソフトランディング(衝撃の少ないゆるやかな降下と着地)。9月の残り4週も、北海道の人々や兄妹とのエピソードを中心に描かれるなど、仕事での大成功がなさそうな、ゆるやかな展開に疑問の声があがっているのです。
◆成功のわかりにくさとタイミングの難しさ