中高一貫校で高校募集を停止する学校が相次いでいる。今年の成城に続いて、2021年には本郷が、2022年には豊島岡女子学園が高校募集をしないことを発表した。安田教育研究所の安田理氏が、都内有力校の高校募集停止から見えてくる最近の高校受験事情をレポートする。
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本郷、豊島岡女子学園と続くことで話題になっている高校募集停止だが、じつはこの6年間だけでも多数ある。2014年には京北学園白山、高輪、2016年には東京学園、2017年には東邦大学付属東邦、2018年には開智日本橋(日本橋女学館)と三田国際学園(両校とも帰国生入試は残しているが)が高校募集を停止している。
完全中高一貫校になるケースが多いが、京北学園白山は目下、閉校の状態。東京学園はドルトン東京学園中等部として再開している。
中高一貫校が高校募集を閉じる主な理由は、以下の3つが考えられる。
まず、完全中高一貫校のほうがブランドイメージが高いと考えられている。東京、神奈川の男女御三家12校のうち、高校で募集しているのは開成のみという状況がそれを象徴している。
そのほか、完全中高一貫校を目指すのは、中入生と高入生がいると、
「カリキュラムが2本立てで複雑になり、負担が大きい」
「特に数学で、高入生が追いつくことが大変」
などの理由が挙げられる。特にこの時期に発表が重なったのは、新しい科目が増える新学習指導要領に対応したカリキュラムを作るうえで2本立ては難しいという背景がある。
また、大学入試で今後AO(「総合型選抜」に名称が変わる)や推薦(「学校推薦型選抜」に名称が変わる)の募集枠が広がることを考えたとき、生徒にいろいろな経験を積ませるためにも6年間は必要だという判断が働いたものと思われる。
一方で、中学入試では大人気の学校も高校入試ではそれほどでもないという事情もある。
高校募集停止に踏み切った成城、本郷、豊島岡女子学園の高校入試結果(別掲表/成城は2018年、その他2校は2019年)を見ると意外に思われるかもしれないが、3校とも募集人員を上回る多くの合格者を発表している。
高校入試では公立高校(都立の進学指導重点校など)を第一志望とする受験生が多いこと、さらに近年は共学の大学付属校を志望する受験生が増えていることがこうした数字の要因になっている。