年齢を重ねるにつれ、体のあちこちに出現する「しこり」だが、中には命にかかわる重大疾患や悪性腫瘍の“芽”である可能性もある。
例えば、骨盤や大腿の骨のほか、上腕部分の力こぶの下あたりに起きやすい「軟骨肉腫」は軟骨にできるがん。痛みがないので大きくなるまで気づきにくいが、進行が比較的ゆっくりということもあり、5年生存率は70~80%程度とされる。
また、お腹のへそのあたりに“脈打つ”ように動くしこりが触れる場合、動脈硬化などにより大動脈が膨らみ、こぶ状になった腹部大動脈瘤の可能性がある。
皮膚表面にできる腫瘍には皮膚がんの一種であるメラノーマなどの可能性も考えられる。進行しても痛みをまったく感じず、気付かないうちにがんが進行している場合もあるという。
では、もし自分の体にしこりが見つかったら、どうすればいいのだろうか。病院にかかる場合、診療科をどこにするかも悩みの種となる。京都大学特定准教授で『心にしみる皮膚の話』の著者・大塚篤司医師(皮膚科)はこう指摘する。
「経験を積んだ皮膚科専門医であれば、その触感からおおよそのタイプがわかる。しかし、良性か悪性かの判断は、組織を採取し、生検という精密な検査をしなければ確定できません。触感などはあくまで参考にとどめ、自己判断せずに専門医を受診してください」
前述の通り、腹部のしこりが脈打っているなど、腹部動脈瘤が疑われる場合は循環器科や心臓血管科などを受診する。弘前温泉養生医院院長の柳澤道朗医師(整形外科)はこう話す。