長い夏休みが終わり、子どもたちは2学期の授業がスタートする。近年、主に小学生の荷物の重さから、教科書を学校に置いていく「置き勉」の是非が論じられ、容認する学校も増えている。だが、果たしてランドセルを軽くするだけで解決する問題なのだろうか。教育評論家の石川幸夫氏が一石を投じる。
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最近、SNS等がきっかけで、世論を巻き込んだ論争に発展する事柄が多くなりました。そのひとつが、いわゆる「置き勉」です。
教科書のページ増による重量増(ある調査では平均7.7kg)で、「登下校の子供たちに身体的負担が大きいのでは?」という意見がSNS上に寄せられたのです。そして、学校に教科書を置いておく置き勉案が論議され始めました。これは、衆議院でも取り上げられ、文科省もSNSに寄せられた意見の多さから、昨年9月に全国の教育委員会などに対し、重量などに配慮するよう求める通知を出しました。
◆本当に教科書の重量は増しているのか?
教科書のページ数は、いろいろと物議を醸したゆとり教育後、確かに増ページの傾向にあります。5年おきに行われる小学校の教科書改訂で、前回行われた2013年度は、9教科で各社平均7208ページから8027ページと約11.4%増えています。
その後、英語や道徳という新たな教科も加わり、2020年度に使用する教科書の平均ページ数(小学1年生~6年生)は9680ページにまで増えます。衆議院に提出された「教科書の重量化問題に関する質問主意書」(2018年)で示されたデータには、小学1年生の女児が9.7kgのランドセルを背負っていたとされています。これは、同年齢女児の平均体重である20.8kgに対し、体重の約半分を背負わされていたことになります。
ランドセルの中身は必ずしも教科書だけではありません。筆箱、ノート、ワークなどの問題集、漢字学習教材、各教科別資料などが加わり、さらに習字道具、絵画用道具、リコーダー、給食袋、体育着なども必要に応じて持参しなければなりません。その重量は子供にとってかなりの身体的負担を与えていることがわかります。