菅義偉・官房長官のお膝元である横浜のカジノ誘致“出馬表明”は、ライバルの候補地に衝撃を与えた。現在、国の認可の上限は3か所。候補地は全国10都市あまりだが、その中で一気に“本命”に躍り出た。
早くからカジノ推進の旗振り役だった菅氏は「ギャンブル等依存症対策基本法」を作って慎重派だった公明党を説得し、カジノ開設までの手続きや営業規制などを定めた「IR(統合型リゾート)実施法」を成立させた中心人物だ。
この秋、政府はいよいよ事業免許の審査や事業者を監督する独立機関「カジノ管理委員会」を設立し、認可に向けた基本方針を公表する。
当然、菅氏は「その委員の人選から都市の選定まで大きな影響力を持つ」(カジノ議連幹部)とされる。
まさにこれから選ぶという時に、その菅氏の側近として知られる林文子・横浜市長が観光名所「山下公園」に隣接する山下埠頭へのカジノ誘致を正式表明したのだから“1枠決まり”とみられるのは当然だろう。
しかし、横浜の表明がギリギリになったのには事情があった。「ハマのドン」と呼ばれ、横浜港の港湾荷役を取り仕切ってきた横浜港運協会の藤木幸夫・会長の存在だ。
地元政財界に隠然たる力を持つ重鎮で、菅氏の古くからの有力後援者だが、港湾荷役の拠点である山下埠頭へのカジノ建設に反対して2人は対立している。今回、「山下埠頭は聖地、博打場にはしない。命を張ってでも反対する」と記者会見で気を吐いた人物だ。地元経済人が語る。