古来の地名には、その土地の特徴や大災害の歴史が秘められていることが多い。今回は、そんな“危険サイン”を秘めた代表的な地名をいくつか紹介する。参考にすれば、災害への備えになるかもしれない。
『サカマキ』
水が逆巻いて流れていた場所。
【例】阪巻(奈良県)
【災害例】1889年の十津川大水害で、奈良県宗檜村(現・五條市)の阪巻では洪水による死者が出た。
『サクラ』
急斜面が崩れて、土地が裂けやすい場所を表す。
【例】桜島(鹿児島県)
『サル』
「すべりさる」「流れさる」が由来。崖崩れ、地すべりが起きやすい場所を示す。
【例】猿投町(愛知県)、猿ヶ谷戸(群馬県)
【災害例】愛知県豊田市の「猿投町」は1767年の豪雨による山津波で大量の土砂が流出した。
『ジャ』
土石流が“蛇”のように流れた場所を示す。土砂崩壊しやすい。
【例】小蛇川(群馬県)、蛇抜沢(長野県)
【災害例】1938年に群馬県で起きた大水害では、人家ほどの巨大な岩塊が土石流にのって「小蛇川」を流れた。
『スナ』
「砂」は海や川に近い場所を示す。液状化が起こりやすい。
【例】南砂町(東京都)
『タギリ』
たぎり流れる川が由来で、水害が起きやすい場所を表す。
【例】田切地区(新潟県)
【災害例】1978年、新潟県新赤倉温泉付近の「田切」地区では、死者13人を出す土石流が。
『タケ』
滝のように崩れやすい場所を示す。
【例】竹洞(熊本県)
『ツル』
崖や滝のように崩れた場所、あるいは川が急激に曲流になり水害が起きやすい場所を示す。
【例】川鶴、津留、北津留(いずれも熊本県)
【災害例】1953年、熊本県で起きた白川大水害で、「川鶴」と名のつく地区がことごとく被災した。1957年の記録的集中豪雨では「北津留」地区が被災。
『ツバキ』
「ついばむ」が由来の、浸食災害地名。
【例】椿原町(熊本県)
【災害例】熊本県椿原町で1957年に起こった大水害では死者・行方不明者が46人出た。
『ナエ』
体力や気力が衰える「萎える」が由来。崩れやすい土地を示す。
【例】苗木(群馬県)、苗場山(長野県)
『ナギ』
薙ぎ倒された場所、つまり、山崩れの起きた場所を表す。
【例】梛下、西小梛町(いずれも愛知県)
『ハギ』
土地の表土を「剥ぎ取る」ことから、河川の湾曲部で水流が当たる部分を示す。斜面剥落地に多い地名。
【例】萩地区(和歌山県)
【災害例】2011年の記録的豪雨の際、和歌山県の熊野川流域にある田辺市本宮町萩地区が浸水被害を受けた。
『ハバ』
崖を表す地名。
【例】羽場(岐阜県)