日本市場を制圧した“巨大企業”の内実に迫るべく、「東京ドーム4個分」の広さを誇る小田原物流センターに潜入した著者が目にしたのは、そこで働くアルバイトたちの苛烈な労働環境だった。そして、アマゾンの正社員から情報提供の申し出を受けたジャーナリストの横田増生氏が内情をレポートする。
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私が物流センターでアルバイトをした最終勤務日の夕刻、平塚駅前の個室居酒屋で西川正明(仮名)に会った。アマゾンの小田原物流センターが稼働した時から働いている古参の正社員だった。
最初に、どうしてアマゾンを告発する気になったのかと私が尋ねると、西川は一気にこう答えた。
「ボクは、アマゾンが自分たちに都合の悪いことは何でも隠し通そうとする姿勢に嫌気がさしたんです。小田原では作業中に亡くなった人を何人も知っています。ボクが、死亡事故の後で、アルバイトの人にもちゃんと説明した方がいいんじゃないですか、と上司に言っても、みんなに話してもたいして意味がないから、といったわけのわからない理屈をつけて、説明を逃げたことがありました」
西川が確実に知っている範囲でも、小田原の物流センターの立ち上げの直後の2013年から2016年にかけて夜勤の男性が3人死亡したという。ほか直近では、私が働く直前の10月上旬にも亡くなった女性アルバイトがいる、と言うのだった。10月10日の午前9時過ぎ、内田里香(仮名)が作業中に倒れ、そのまま亡くなったという。
複数の関係者に話を聞いた結果、内田が亡くなったのは次のような経緯だった。