米国生まれのカジュアル衣料チェーン「FOREVER(フォーエバー)21」が経営難により破産申請を準備中との報道が出ている。日本でも14店舗を運営していただけに今後の動向が注目されるが、果たして一世を風靡した“ファストファッションブーム”は曲がり角にきているのだろうか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。
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アメリカでフォーエバー21が破産申請を準備しているという報道がなされ注目を集めています。フォーエバー21は2009年に日本にも上陸し、一時は大人気となった著名ブランドですから、驚くとともにトレンドに素早く対応しなければならないファストファッションビジネスの難しさを感じた方も多かったのではないかと思います。
初めに断わっておきますが、ファストファッションは低価格のほかに、トレンド商品の企画製造が早いという要素が必要です。企画から店頭投入まで1年以上が必要なユニクロやGAPなどは厳密にいうとファストファッションではありません。またH&Mも時間がかかるのでファストとはいえませんが、今回は便宜的に「低価格ブランド」というカテゴリーをファストファッションと呼ぶことにします。
確かに、日本国内を含めて全世界で800店舗を展開するフォーエバー21の経営危機は大きなインパクトがあります。もし、アメリカで破産申請されれば不採算店舗が閉鎖され、現在14店ある日本国内の店舗もいくつか閉鎖されるのではないかと考えられます。
しかし、世界的に見ればフォーエバー21の売り上げ規模はZARAやH&M、ユニクロなどとは比べ物にならないほど小さいため、特定企業の経営不振だけをもって「ファストファッション(低価格ファッション)は終わった」とは言えません。
その証拠に、世界の大手アパレルチェーンの業績(2018年度)を見てみると、世界1位はZARAを擁するインディテックスで3兆2700億円もの売上高があります。2位はH&Mで2兆5300億円、3位は日本のユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリングで2兆1300億円となっています。
ちなみに、4位はオールドネイビーが好調なGAPで1兆8000億円、5位はLブランズの1兆4400億円、6位が激安ブランドであるプライマークの1兆680億円で、ここまでが1兆円以上の企業となります。10位には日本のしまむらがランクイン(5459億円)していますが、フォーエバー21の売上高は非公開ですが、4400億円程度と言われており、10位以下、しまむら未満でしかないのです。