世界初の量産ハイブリッドカー(HV)として1997年に登場したトヨタ「プリウス」と比較されながらも、常に後塵を拝してきたホンダ「インサイト」。2018年12月に第3世代となる新型が発売されたが、果たして王者プリウスの牙城を崩す性能は備わっているのか。『プリウスvsインサイト』の著書もある自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が試乗評価した。
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ホンダHV「インサイト」の第1世代は、「プリウス」(トヨタ)から2年後れの1999年に発売された。
排気量1リットルのリーンバーンエンジンに小型の電気モーターをつけた簡易型ハイブリッド方式ながら、2人乗りオールアルミボディで車重800kg台という力技で、燃費だけは負けないという意地の産物だった。しかし、ハイブリッドというだけではプリウスのライバルたり得るはずもなく、2006年に退場した。
第2世代は2009年に登場。第1世代と同じく簡易型ハイブリッドシステムを使いながら実用的な5人乗りボディを与え、低価格を看板に存在感を示そうとした。が、「トヨタはハイブリッドを安く作れないがウチは安く作れる」(当時の福井威夫社長)等々、トヨタを散々挑発したのが仇となり、逆上したトヨタに第3世代プリウスで攻勢をかけられ、またもやKO負けを食らって2014年に退場を余儀なくされた。
このように、ホンダにとっては何とも苦い思い出ばかりが積み重なった車名のインサイトだが、昨年、4年あまりのブランクを経て突然、第3世代モデルとして甦った。エンジンを発電に用い、電気モーターで走るシリーズハイブリッド方式の本格電動パワートレイン「i-MMD」を搭載し、ボディサイズもアメリカのコンパクト市場を主眼とした3ナンバーサイズである。
筆者はその第3世代インサイトで4000kmあまりツーリングを行い、道中でさまざまな特性を見てみた。折しも世の中は燃費規制の急激な強化でハイブリッド技術への注目度が高まっている。新しいインサイトは、プリウスに負けっぱなしだった流れを止められるクルマに仕上がっているのだろうか。