香港では、逃亡犯引き渡し条例の改正案の反対を訴える若者らのデモ活動や警官隊との衝突も起きた。9月上旬、引き渡し条例自体は撤回されたが、若者らの行動を支援する香港内の企業への中国当局による露骨な圧力が目立っている。
香港では「タイパン」ブランドで知られる月餅で有名な「大班麺包西餅(タイパン)」やファッションブランド「ザラ」や「コーチ」、「ベルサーチ」などの有名企業が、中国共産党機関紙『人民日報』や同紙系列の国際問題専門紙『環球時報』に批判された。「反政府デモを支持している」などの理由から、名指しでやり玉に挙げられた。これを受けて、これらの企業は一様に「謝罪」を表明するなど、中国の圧力に屈した形だ。
「手と手をつないで自由を守れ。全香港市民が新たな歴史を創造しよう」
「これに反対する香港政府と香港警察は愚か者だ」
これはタイパンの創業者の息子で、同社社長の郭勇雄氏が自身のフェイスブック(FB)に投稿したメッセージだ。郭氏はFB上に抗議デモに参加した香港市民1人1人が手をつないでいる、連帯を示している写真を掲載し、そのうえで香港警察などを痛烈に批判した。
これについて、『人民日報』は「まさにデモを支援している証拠。それほど中国が嫌ならば、中国で月餅を売らなければ良い」などと指摘。その翌日から、タイパンの月餅などの商品は中国の通信販売専用のサイトから消えてたのだ。中国当局が通販業者に圧力をかけて、タイパンの商品の売買を禁止したと見る向きが多い。