U-18野球W杯の舞台となった韓国・機張でも、「令和の怪物」こと佐々木朗希(大船渡)の注目度は群を抜いていた。狭いボールパークのいたるところで「ササキ」を語る会話が聞こえ、佐々木がトイレに向かえば野球少年がサインや写真をおねだりしていた。現地紙「SPORTS DONGA」のカン・サン記者はこう話した。
「163kmを投げるというササキ投手は韓国でも人気で、よく知られています。岩手大会の決勝で投げなかった時、私はMLBのストラスバーグを思い出した」
2009年の米国ドラフトの1巡目1位指名を受けたスティーブン・ストラスバーグは、14三振を奪う衝撃のデビュー後、右ヒジを痛め、1年目でトミー・ジョン手術を受けた。本格復帰した2012年は球団がシーズンで160イニングという異例の回数制限を設け、ポストシーズンも登板を回避させた。
大船渡の國保陽平監督の判断による岩手大会決勝での佐々木の登板回避も、同じように投手をケガから守る起用法だったと、韓国の記者が認識しているのだ。投手の酷使を避ける流れは、世界的に広がっている。今回のW杯では球数制限が初めて導入された。
2年前の大会ではリリーフで三振の山を築いた田浦文丸(当時秀岳館、現福岡ソフトバンク)が9日間で6試合に登板。決勝進出を懸けた韓国戦で先発したが、疲労もあって打ち込まれ、日本は決勝進出を逃した。
そんな景色はもはやない。