放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、大評判の『全裸監督』(Netflix)鑑賞から同時代を生きた思い出、日大芸術学部の学生時代に残した江古田伝説について語る。
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近頃は業界の連中が2人、3人集まれば「『全裸監督』見た?」「凄いね、あれは」これが夏の終わりのご挨拶。どうやって見るんだ? NETFLIXってなんだ? テレビ朝日が昔はNETと言ったよな、確か。ン? 関係ない? 大昔からレギュラーで喋っているニッポン放送で言ったら不憫に思ったのだろう、「実は見てない連中もいるので、皆で試写会をやりましょう」てなことになり、局の会議室を借り、昼日中に10人の大人が集まってソワソワドキドキ。なんだか大昔、熱海の温泉へ行ってブルーフィルム上映会をやった時のよう。『全裸監督』だと言うので、もちろんこちらも失礼のないよう全裸作家となって観賞。
私と同い年(1948生)の村西とおる監督の濃すぎる栄枯盛衰の半生を、金をかけて見事に描ききった8作(なんと噂によると、シーズン2が作られているとか)。1980年代、そしてバブル期のみごとなドキュメントともなっている。まさにその破天荒ぶりがナイスですねぇ。女神、黒木香との出会い。ビニ本自販機、モザイクをバターやらマヨネーズで消す若者達、AV誕生。名作『SMぽいの好き』。
村西を演じる山田孝之がこれまた凄すぎ。これだったら「前科7犯、借金50億、米国司法当局から懲役370年求刑」と言われても納得がいく。