日本社会が直面する「少子高齢化」の大きな要因に「未婚率」の高さが挙げられる。1980年までは男性(35~39歳)の未婚率は10%以下で、「30代になれば誰もが結婚する」のが当たり前だったが、それ以降、未婚率は上昇しはじめ、2015年には35.0%と30代の男性の3人に1人が独身となった。
一方で、30代女性の未婚率も上昇したが、2015年に23.9%と4人に1人にとどまっている。50歳時未婚率(50歳時点でいちども結婚したことのない人の割合)も、男性23.4%に対して女性14.1%(2015年)とかなりの差が開いている。
なぜ男性の未婚率だけがこれほど高くなっているのか。新刊『上級国民/下級国民』(小学館新書)が話題の橘玲氏は、同書の中で「モテ/非モテ」について分析しており、その理由について次のように分析している。橘氏が語る。
「男女の数がほぼ同数だとするならば、男女で未婚率が大きく異なる理由はひとつしかありません。一部の男が複数の女性と結婚する『事実上の一夫多妻』となっているのです」(橘玲氏・以下同)
日本も他の欧米諸国と同じく「一夫一妻制」で、複数の妻を持つことは認められず、かつて一般的だった「妾」や「二号さん」も社会的に許容されなくなってきている。だがその一方で離婚率は上昇し、生涯で2回、3回と結婚することも珍しくなくなった。
「一部の男性が未婚の(若い)女性と再婚し、離婚した女性は再婚せずに母子家庭のまま暮らすと考えれば、男女の未婚率の違いが説明できます。一夫多妻は同時に複数の女性を妻にすることですが、欧米や日本のような先進国で共通して増えているのは、結婚と離婚を繰り返す『時間差の一夫多妻』です。
もちろん離婚には金銭的・精神的に大きなコストがかかります。弁護士を雇うなどしてこうしたトラブルを穏便に解決できるのは、それなりの社会的・経済的地位のある男性でしょう。Amazonの創業者ジェフ・ベゾスが約4兆円の慰謝料を支払って離婚したことが象徴的ですが、じゅうぶんな富のある一部の男性にとっては、『事実上の一夫多妻』を実現することはそれほど難しくありません。