日本のホテル御三家の一角である「ホテルオークラ東京」(東京都港区)旧本館の建て替え工事が完了し、いよいよ9月12日にリニューアルオープンする。果たして、どんな豪華施設に生まれ変わったのか。一足早く内覧会を訪れたホテル評論家の瀧澤信秋氏がレポートする。
* * *
東京ホテルシーンの新たなメルクマールが誕生した。
2015年8月31日にホテルオークラ東京の本館が閉館してから4年。総工費1000億円を投じて建て替えを行い、9月12日より「The Okura Tokyo(ジ・オークラ・トーキョー)」として新たなスタートを切る。伝統と格式を兼ね備えた日本を代表するホテルだけに、どのような変貌を遂げたのか注目度の高さは別格だ。
The Okura Tokyoで特徴的なのは、高層棟である「オークラ プレステージタワー」と、中層棟である「オークラ ヘリテージウイング」の2棟で構成されている点。「オークラ プレステージ」ブランドはすでに海外を中心に展開されているが、「オークラ ヘリテージ」は今回新たに創設されたホテルオークラグループのトップブランドだ。
多層的にブランドを設けるホテルはいくつもあるが、2ブランドを同所で一体運営するケースは珍しい。すなわち、オークラ ヘリテージ/オークラ プレステージという“Two Brand One Operation”のホテルということになる。The Okura Tokyoという名称も2ブランドを運営する特別なホテルとしての位置づけを明確にするためだという。
プレステージタワーはオフィスも入居する地上41階/地下1階のタワー。客室数は368室で10室のスイートルームを擁する。レストラン3つにバーが2つ、フィットネス&スパ、バンケットルーム、ショッピングエリアなど、ホテルのパブリックスペースとしての顔を持つ。客室は28階から40階に位置し、標準的なタイプで約50平方メートル。高層階ならではの眺望も魅力だ。
一方、ヘリテージウイングは地上17階/地下4階、客室は140室でスイートルームは7室、標準客室面積は約60平方メートル。2つのレストランはあるものの、客室ステイに主眼の置かれた棟だ。全室にブローバスとスチームサウナを備える。通常、アッパーな客室はハイフロアに位置するのが定石だが、中層としたのも贅沢な敷地と庭園を有するホテルならではだろう。