上野樹里(33才)演じるヒロインは監察医だが、医療ドラマの要素だけではなく、家族ドラマもしっかり描かれているドラマ『監察医 朝顔』(毎週月曜21時~、フジテレビ系)。今までの“月9”とは一味違う魅力を放つ作品の舞台裏に潜入してみると、セットの細部に至るまで物語を支えるこだわりが満載。チーフで演出の平野眞氏と美術デザインの宮川卓也氏が、その意図を明かしてくれた。
◆ヒロイン・万木朝顔が住む「万木家の台所」
昭和レトロな雰囲気が漂う台所。懐かしいデザインのコンロや、やかん、鍋などが置かれているのが特徴的だ。「平(朝顔の父親、時任三郎)が子供の頃から住んでいる家という設定なので、昭和30年代建築のものなんです。やかんやトースターなど、小道具は“音が想像できるもの”を美術さんにお願いしました」(平野氏)
父と娘がいっしょに台所に立つというきわめて日常的な場面でのやり取りが、物語に深みを出す。9話では「2人の頃は3日間、カレー食ってたな」「お父さん、いつも作りすぎなんだよ」と、平と朝顔が万木家の“定番メニュー”カレーを巡って会話するシーンが登場。
さらに、同じく9話では朝顔の娘・つぐみが大人のカレーを食べて「ママのおなかの中で食べた」と言う場面が。万木家の象徴的なメニューとして登場する料理がカレーだった理由は何か?
「単純に平役の時任三郎さんが似合う料理は何かを考えて、カレーに決めました(笑い)」(平野氏)
鳩サブレーの空き缶など、画面では見えないような場所にも小道具が置かれている。
「画面には映らないものだけど、俳優さんたちの目にとまれば…と思っています。細かいものが、お芝居をする時のヒントになることが多いんです」(平野氏)