女優・室井滋さんがつづった最新エッセイ集『ヤットコスットコ女旅』が発売になった。ロケやライブのために東へ西へと移動の日々を送る室井さんが、その道中や宿泊先で起きたハプニングをユーモラスにつづったエッセイが67編収録されている。三省堂書店有楽町店の内田剛さんが「やっぱり室井さんのエッセイはとんでもなくオモシロイ!」と大絶賛するなど、早くも話題になっている。同じくスーツケース一つで全国各地を飛び回る日々を送る、『プレバト!!』(毎日放送)でお馴染みの俳人・夏井いつきさんも大絶賛。今回ふたりは初対面。室井さんは果敢にも、辛口で知られる夏井さんに添削してもらうべく、新たに7句作って対談に臨んだ──。
◆いちばん凡人の句は── 夏井先生がバッサリ!
夏井:『ヤットコスットコ女旅』には旅の極意を書いたところもあるでしょう。
室井:ああ、「『あらまあ、お気をつけあそばせ』10か条」ですね。
夏井:「お手洗い。次また何処かでと思うなよ!」とか、もう「分かる! 分かる!」の連発で大爆笑よ。
室井:そんなふうにおっしゃっていただけて、うれしいです!
夏井:新幹線の中で、前の席の人がバーンとシートを後ろに倒してきて痛いとか、迷惑をこうむったとか、あんなのも、しょっちゅうだもんね。
〈それは「オッチャン、ちょっと近いわぁ」と題した1編。前の座席が突然ガタンと倒れて、それが室井さんにグーンと迫ってきた。髪は、中途半端に伸ばして、スダレの横分けタイプ…10分後、まさかの事態が。〉
〈「オッチャンときたら突如ボリボリ掻き出して、その後頭部の様子が変わってしまう。椅子の内側にあった毛が、一気に外側に飛び出してきたのだ。/まるで冬山が春を迎えて、草木が一斉に伸びたみたいな増量具合!」。その後、さらに事件が起きて――その顛末はぜひ単行本でお読みください。〉
夏井:でも、共感点がた~くさんある中で、唯一塩のことだけは「塩!?」って思って。
室井:塩は女優の必須アイテムなんです(笑い)。
夏井:へぇ~。女優さんは、やっぱりいろいろあるんですか?
室井:私たち、ドラマのロケなんかで団体行動してると、割り当てられた部屋がちょっと薄気味悪くても、替えてほしいとか言えないんですよ。「ワガママ女優」っていうふうに言われちゃったら嫌じゃないですか。だからそういう部屋に当たって、なんか眠れない時には…四隅に白い粉を盛る。
夏井:アハハハハハ! 室井さんは、霊感っぽいのがあるの?
室井:ないと言ったら嘘になるかな。怖いものを見るとか、そういうことではないんですが、頭の中に過ったことが次の瞬間に現実になるということがよくあります。例えば昔の友達の顔がぱっと過った瞬間、その人からの電話が鳴るとか。その手のことはもうしょっちゅうです。
夏井:この本には俳句のタネもいっぱい書いてあるなと思いましたけど、俳句はされないんですか?
室井:実はかつて俳句入門みたいな仕事をしたことがあるんです。その時に先生がよしとされる句の何がいいのかよく分からなくて。