テレビ各局は他局より少しでも高い視聴率を獲ろうとしのぎを削るライバル同士だ。だが最近、各局が連携して取り組む動きが見られる。しかも、スポーツのコンテンツでそれが顕著だ。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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15日に行われた東京五輪代表選考会の「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)」が大きな話題を集めました。ネット上で、白熱したレースと同等に視聴者の注目を集めたのは、男子を中継したTBSと女子を中継したNHKの連携。番組開始から約4分間、両局で同じ映像が流れたほか、TBSの安住紳一郎アナとNHK『グッと!スポーツ』MCの相葉雅紀さんが並んでトークしたことで視聴者を驚かせました。
その後も、映像を共有して互いの途中経過を伝え合ったり、アナウンサーが互いのスタジオでリポートしたり、局の枠を越えて連携。男子のTBSが16.4%、女子のNHKが13.5%と、日曜午前中に合計29.9%もの高視聴率を獲得しました。ネット上を見ると、「TBSとNHKをザッピングしながら見た」「テレビを2画面表示にしてTBSとNHKを同時に見ていた」などの声が多く、両局の連携が好意的に受け止められていたのは間違いないでしょう。
同様に、20日開幕の「ラグビーワールドカップ2019日本大会」でもテレビ局の連携が見られます。日本テレビは19試合を生放送、NHKは録画を含めて31試合を放送しますが、まずは開幕前のPR番組で両局が連携。
16日に放送された『くりぃむしちゅーの掘れば掘るほどスゴイ人 ラグビーW杯開幕直前SP』(日本テレビ系)に、『グッと!スポーツ』(NHK)MCの相葉雅紀さんが出演。日テレ系ラグビーW杯スペシャルサポーターの櫻井翔さんとの共演で盛り上げました。
また、18日には『グッと!スポーツ 開幕2日前でも間に合う!ラグビーW杯直前SP』にも櫻井翔さんと日本テレビの水卜麻美アナが出演。どちらの番組にも、驚きとともに称賛の声が目立ちました。
さらに、日本テレビとTBSのドラマ『ノーサイド・ゲーム』の連携も実現。9日放送の『人生が変わる1分間の深イイ話×しゃべくり007合体SP』(日本テレビ系)に『ノーサイド・ゲーム』で俳優デビューした元日本代表主将の廣瀬俊朗さんが出演し、ラグビーワールドカップとドラマの両方をPRするという異例のコラボが話題を集めました。
この秋、なぜ局の垣根を越えた連携放送が続いているのでしょうか? 狙いと今後の可能性を掘り下げていきます。
◆連携してネットコンテンツに対抗