今年は2年に一度となる東京モーターショーの開催年であり、10月24日~11月4日にかけて46回目の開催が予定されている。しかし、その東京モーターショーは、かつての輝きを失いつつある。それには、いくつかの要因があった。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。
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かつての東京モーターショーは“世界5大ショー”と呼ばれ、非常に高い注目度を誇っていた。昭和の終わりから平成初期にかけては、毎回の来場者数が100万人を超えており、平成3年には過去最高の201万8500人の来場者を記録している。
ところがリーマンショックを経た2009年以降、その来場者数は激減。近年はだいたい70~90万人というところ。往年と比べると、なんとも悲しい状況に陥ってしまった。まさに落日の様相を呈している。
では、いったい、なぜ東京モーターショーは、そんな状況になってしまったのか。それには、2つの大きな理由があると言えるだろう。
最初の理由は、世界市場における日本の地位低下だ。昭和の時代から平成の初期にかけて、日本の自動車市場は、北米に次ぎ、欧州と肩を並べる大きな存在感を放っていた。ところが平成になって中国市場が爆発的に拡大して北米を抜いてしまった。
他にも、アセアンなどの新しい市場も着実に成長してきた。そうした新興市場でもモーターショーは当然のように開催されるため、新たなライバルが登場したことで相対的に東京モーターショーの注目度が下がってしまったのだ。
2つ目の理由は、モーターショー自体の存在意義の低下だ。インターネットが普及する前は、各国で開催されるモーターショーは、世界各地のメディアが一堂に介する場であった。そこで新型車を発表すれば、効率的に世界中に情報を伝達できる。
しかし、インターネットの登場ですっかり様子は変わってしまった。新型車の発表をインターネットで世界同時中継することも可能となったのだ。そのため、わざわざモーターショーで、何かを発表する意味合いは低下してしまった。