白鵬(宮城野部屋)と鶴竜(井筒部屋)の両横綱が途中休場したことで、賜杯争いが混沌とした大相撲秋場所。そのなかで明暗が分かれた力士がいる。カド番ながら負け越して関脇への陥落が決まった大関の栃ノ心(春日野部屋)と10勝以上をあげたことで大関に返り咲きとなった関脇・貴景勝(千賀ノ浦部屋)である。
貴景勝は中盤で6日目の遠藤(小結、追手風部屋)戦、7日目の千代大龍(前頭5、九重部屋)戦と立て続けに敗れたものの、12日目には早々と10勝をあげて大関復帰を決めた。12勝3敗で本割の土俵を終え、御嶽海(出羽海部屋)との関脇同士の優勝決定戦こそ制することはできなかったが“1場所での大関復帰”を果たした。
一方のカド番大関・栃ノ心は14日目に妙義龍(前頭6、境川部屋)との対戦で土がついて負け越しが決まる。千秋楽の結びの一番では大関・豪栄道(境川部屋)にも敗れて6勝9敗に終わり、“2度目の大関陥落”となった。出羽海一門の若手親方がため息交じりに解説する。
「まさしくガチンコ時代を象徴する場所だった。栃ノ心は10日目に5勝5敗と五分の星に戻したあと、貴景勝、御嶽海、竜電(前頭5)、妙義龍、そして大関・豪栄道と対戦している。貴景勝と竜電は二所ノ関一門だが、残りの3人はいつも稽古をしている出羽海一門の力士だった。
優勝争いに絡んでいた御嶽海には敗れたものの、6勝7敗で残り2日となり、14日目、千秋楽は同じ一門の境川部屋の2人との対戦だから勝ち越せるのではないか、とも見られていた。ところが、“大関互助会”が発動する間もなく妙義龍戦で負け、千秋楽を前に大関からの陥落が決定した」